ビタミンCのブログ

ブロマガから移ってきました

ドラクエ10の話題ついでにRMTを不可能にするゲームシステムについて

ドラクエ12が発売される予定というのがニュースになったので、ドラクエのことを思い出したり調べてみたりしてみた。わたしがドラクエを初めてプレイしたのは1980年代なので、もう30年くらい前のことになる。はるか昔だ。

 

ドラクエは1から6まで自分でプレイしてクリマまでやって、7はプレイしたが途中までで、8以降はほとんど触ってない。ドラクエ11がゲーパスに入っていたので少しやってみたが、30年前と同じゲームシステムだったのに閉口した。検索してみても、やはりみんな古いゲームだと思っているようでちょっと安心したりした。

 

あの戦略性も戦術性もほとんどない(全くないとは言わない)戦闘システムが未だに採用されているというのがとにかく驚きだ。敵側にしてみても、ランダムエンカウントなので、洞窟の一箇所に罠をはって待ち構えるみたいな戦術性もないし、味方の側も前衛後衛すらない。コマンド入力自体はシステムとしてありだが、それはXCOMみたいな見下ろし型のストラテジー戦闘システムでのみ今日許されているもので、ドラクエ型だと81年発売のWIZARDRYよりも戦術性がない。

 

せっかく2010年代にゲームをさわるというのに、あれではいかにも進歩がない。ドラクエはビックタイトルなので、どうしても子どもなどの目に触れやすく、あれで遊んでしまうのだと思うが、今どきあんなのをプレイしていてはアホに育ってしまう。大人にしてみても、未だにあんなのを楽しくプレイしているのは進歩がない。だから日本は30年間もほとんど経済成長していないんだと思う。いや冗談抜きで。

 

やばいぞ日本。どーせお前らドラクエだけじゃなくて、音楽でもずっとB'zとか聞いてるんだろ? だからいつまでも新しいことに挑戦しないで、コストカットばっかりして、進歩がないんだよ。はーあ。

 

ところで、ドラクエ10はオンライン、しかもMMORPGなんだったっけ。これ、ちょっと前にこのゲームをひたすらやってたクズが父親に殺されて話題になったりしていた。まあ、そのニュースだけで判断するのは危険だけど、いかにも引きこもりが俺ツエーしてそうなゲームというイメージはそう間違っていないんじゃないかと思う。

 

で、ちょっと調べてみると、このゲーム、RMTリアルマネートレードがかなり盛んなゲームだということがわかった。なにしろ、「ドラクエ10 RTM」で検索すると、スクエニのサイトよりもRMT取引サイトのほうが上位に表示されるくらいだ。取引サイト自体もたくさんあって、口コミには「取引位一週間後ですがBANされていません。大丈夫なようです」みたいなのがある。これはちょっと面白そう。

 

何しろ、RMTは規約で禁止されているというものの、法律では禁止されていない。じゃあグレーかよ、と言うとそうでもなくて、韓国なんかではRMTする側に有利な判決が出ていたりもする。運営側もそれを知っていて、裁判に持ち込んで「RMTは合法!」という判決が出たりした日には目も当てられなくなるので、「規約では禁止」以外のことを言えないのだ。

 

が、外国では面白い事例がある。たとえば、「R.O.H.A.N」ではRTMをOKにしていて、EverQuest IIでは公式がRMT取引システムを立ち上げていたりする。これは、RMT自体をビジネスにしてしまおうという動きだと思うが、問題もある。というのも、運営側がもしある特定の人物(大抵は運営者自身だろう)にゲームの更新情報を前もって流せば、いくらでもお金を不正に稼ぐことができて、それを現実のお金に換えることができてしまう。あるアイテムが次のイベントで有効だとか、有効でないとか、そういう情報。

 

ちなみに、こういう情報は4gamersにおけるRMTについての対談を元にしている。この対談のなかで、「ゲーム内のアイテムは価値観であって、価値ではない」という発言があって、なるほどと思った。たとえばあるアイテムがいくら希少で有効だからその時は高値がついていたとしても、運営側が次の新しいもっと有効なアイテムを大量にばらまけば価値はなくなってしまう。なので、ゲーム内の資産というのは価値観でしかない。これはなるほどと思った。であるなら、RMTで得たゲームのお金やアイテムは現実の価値ではない。というか、そもそもの話として、もしゲームの中のお金が現実のお金と互換可能なのだったら、稼いだお金に応じて税金払わないといけなくなる。それはヤバい。

 

で、もとの話に戻ると、ドラクエ10ではRMTを規約として禁止しているのだが、この理由はわかる。不公平だし、何よりもRMTがあることでゲーム内のモノの価値が異様な形で動き、インフレが起きる。結果として、運営側はゲーム内通貨の価値をいかに抑えるか、ということに心血を注がなくてはいけなくなる。これにはとても高度な経済学の知識が必要だし、面倒だし、なによりゲームの面白さ自体にあまり関係がない。わたしがこの事象を眼にしたのは初代リネージュ内においてだった。もう20年も前のことだ。

 

ドラクエ10の何が驚きかと言うと、古いMMOPRGのゲームシステムをなんの考えもなくそのまま真似して作ったせいで、20年前にすでにあったRMTの問題をそのまま持ち込んでしまっているということだ。国産タイトルでも前例としてFF11(合併前のスクウェアが発売)とかが2000年代初期からあったわけだが、何も学んでいなかったのかスクエニは? やばいぞ日本

 

実は、RMT対策というのはとても簡単にできる。個人間取引を完全に禁止すればいいだけだ。「それじゃアイテム取引できないだろ、なんのためのMMORPGだよ」という声が聞こえます。いいですか、簡単なことです。まず、お金だけの取引はできない。で、アイテム取引、これはすべて全員向けのオークションを通してしかできなくすればいいのです。時間は5秒とか1分とかの指定はできなくて、1時間から24時間まで。

 

これでRMTは完全に阻止できる。お金やアイテムの個人間取引ができないのだからね。「アイテムの値段はどーやって決まるんだよ、オークションだと結局お金のあるやつが持っていっちゃうじゃねーか」という声が聞こえます。それはRMTとは関係ないことだけど、即時購入される金額を必ず決めておけばいいだけ。30万でオークションに出せば、40万で必ず即決がつくみたいな仕組みにしておけば、出す方も面倒でないし、買う方もわかりやすい。

 

で、じつはこのシステムを装備しているゲームはすでにある。というか、そのゲームを見ながら「あ、これRTM問題の解決法じゃねーか」と思ったのがこのエントリのきっかけなんだけどね。そのタイトルとは……Forzaシリーズのこと。XBOXとPC限定ゲームなので知名度はないが、むちゃくちゃよくできたゲームだ。このゲームでは車をオークションで売り買いできるのだが、車を出品するときは初めの値段と即決の値段が自動で設定される。もちろん自分でいじることもできるが、はじめに設定されるのが相場というわけだ。

 

このゲーム、ゲーム内通貨で普通に買える車だけではなくて、イベントでしか手に入らない車もあるのだが、そういう車にも運営側が一応の値段設定を事前にしていて、そのあとは相場を反映して、出品するときに初めにつく値段設定がなされていくのだと思う。通貨の取引はもちろんできないので、RMT要素は皆無だ。

 

調べてみると、2007年のForza Motorsport 2ですでにカーオークション機能がついているので、2011年発売のドラクエ11でもこの機能をつけてRTM要素を排除することは可能だったのだ。しかし、Forzaのカーオークションなんてほとんどおまけみたいな機能で目立たないものだし、ましてやMMORPGRMTと関係があるなんて誰も思わなかったのだろう。たぶん、今まで誰も。そして今後も